シーメンス社のT3Ster(トリスター)は、電子部品に外部から電流を与えることで、その内部熱抵抗を高速・高精度に測定できる装置です。
電子部品は、外から受ける温度変動のほかに、部品自体の発熱による熱の影響を配慮する必要があります。このため、電子部品内部の構造や材料、それぞれの接触状態など様々な機構的要素を最適化し、自己発熱を効率よく外部に伝える工夫がなされています。
この時の判断材料として用いられるのが熱抵抗値です。熱抵抗値は、どこに熱の伝わりにくい部分があるかを示す値です。熱抵抗値が高い部分があると、その部分で温度が上昇してしまうため、いかにその値を下げるかが課題となります。
ですが、小さな電子部品内部のことなので、熱抵抗値を定量的に測定することは困難です。
そこで、T3sterによる測定が必要になります。
T3Sterで測定を行う際は、JEDECというアメリカの規格に則って、測定環境を整えることが求められています。
具体的には以下のような条件です。
T3Sterを導入したユーザーは、市販のホットプレートにサンプルを載せ、指で押さえたり錘を載せるなど、その実現に苦労しています。また、測定器として大変高精度であるがゆえ、サンプルである電子部品のおかれている環境、特に温度を正確にコントロールしないと、測定のたびに結果が異なってしまう現象が起こってしまいます。
弊社が従来より持ち合わせていた、温調環境をコンパクトなスペースで実現する技術を応用し、T3Ster専用の測定治具を開発しました。
シーメンス社「T3Ster」と、弊社の温調ステージや加圧治具と組み合わせれば、熱抵抗値を高精度に測定できます。
温調ステージに一定の荷重でサンプルを押し付けることにより、優れた再現性を実現します。ジャケットに温度調節された冷媒を流す方法が主流ですが、デスクトップ温調機「PELNUS」は温調ステージ自体の温度を直接コントロール。サンプルの温度を正確に変化させることができます。
サンプルの温度を温調ステージにより変化させ、安定した時点でT3Sterが測定開始。連続してこの動作を自動で行います。
JEDEC JESD51シリーズ規格に準拠した測定が正確に行えるよう、株式会社デンソー様の指定仕様に応じて新規開発しました。 → T3Ster用加圧治具の仕様について