光学機器・部品用の小型の無風恒温槽です。
従来の恒温槽・環境試験器は、槽内で風を循環させているため、どうしても測定精度に±5℃程度の誤差が生まれていました。電子部品において最大10℃の誤差は、設計マージン(安全率)を過剰に持つことになり、コスト高な設計に繋がります。
無風恒温槽では風を起こさずに温調し、無風空間を実現しました。
従来の恒温槽は、熱交換器で温度を変化させた空気を槽内で撹拌しているため、温度ムラが発生しています。
「無風恒温槽」は、熱伝導で天井、壁面、底面の全てを同じ温度にすることで無風空間を実現しました。密閉した空間をしっかり断熱して温調するため、低温時の結露や凍結もなく、高温時の火傷など安全面の心配もありません。
【従来の恒温槽】槽内に温度ムラが生じ、過剰な設計マージン(安全率)につながる
【無風恒温槽】風を使わず熱伝導と輻射で温調し、温度ムラの少ない槽内を実現
電子部品などと違って、光学機器・部品の評価には光が必要です。温度によって、光を受けたり発したり、貫通させる特性がどのように変化するのかを捉える必要があるためです。
無風恒温槽では槽内へ光を通すための窓を選択できるため、光学的な測定器は室内環境に置いたまま、サンプルだけ温度を変化させて評価することができます。
サーモグラフィーで窓越しに槽内を観察できる、特殊ガラス窓も対応可能です。
通常のガラス窓では赤外線を透過しないため、サーモグラフィーを使った槽内の観察が出来ません
特殊ガラス窓なら、恒温槽の窓越しにサーモグラフィーで観察可能です
熱伝導率の高い金属板を温調し、内部の空間を設定温度まで高速に制御します。
従来品よりも熱伝導性を高めた内部温調カバーと高断熱性の外部カバーによる高速温度制御で、評価の生産性を向上させます。
温調の熱源であるペルチェモジュールは、冷媒ガスを圧縮・膨張するコンプレッサー式と異なり、温度変化に電気のみを使用します。冷却水や圧縮空気は不要で、電源さえあれば稼働します。電気を流す方向によって加熱と冷却を切り替え、きめ細かに電流を調整することで温度制御を行うため、応答速度が速く、振動もランニングコストも少ない精密温調を可能とします。